「歯医者さんは、歯が痛くなってから行く場所」…もしかして、あなたもそう思っていませんか?
実は、その考え方が将来的に大きな出費や健康リスクにつながるかもしれません。
この記事では、痛くなる前に歯医者さんに通う「予防歯科」が、いかにしてお財布とあなたの健康を守るのか、そして将来の医療費を100万円以上も節約できる可能性があるという驚きの事実を、具体的なデータと私の臨床経験を交えながら、分かりやすくお伝えしますね。
【この記事の結論】予防歯科は最高の「未来への投資」
- 経済的メリット:
→定期検診(1回約3,000円)を続けることで、将来かかる可能性のある高額な治療費(数十万〜数百万円)を予防できます。生涯の総医療費で見ても、年間15万円以上の差がつくというデータもあります。 - 全身の健康効果:
→歯周病を予防することは、糖尿病、心筋梗塞、認知症といった全身疾患のリスクを低減させることにつながります。 - 生活の質の向上:
→自分の歯で生涯おいしく食事を楽しむことは、栄養状態を良好に保ち、脳を活性化させ、健康寿命を延ばす上で非常に重要です。 - 子どもの将来のため:
→乳歯の虫歯を防ぐことは、永久歯の正しい歯並びや将来の健康な食生活の土台を作ります。
目次
そもそも「予防歯科」って何をするの?
「予防」と聞いても、具体的に何をするのかイメージが湧きにくいかもしれませんね。
予防歯科は、虫歯や歯周病になってから治療するのではなく、「なる前に防ぐ」ためのプロフェッショナルケアです。
当院のようなクリニックでのケアと、ご自宅でのセルフケアの両輪で、お口の健康を守っていきます。
プロによる定期的なチェックとクリーニング
歯科医院での予防ケアは、痛みもほとんどなく、むしろ「気持ちいい」と感じる方も多いんです。
お口の状態チェック
虫歯や歯周病の兆候がないか、歯ぐきの状態は良いかなど、専門家の目で隅々まで確認します。
ご自身では気づきにくい、ほんの小さな変化も見逃しません。
歯石除去(スケーリング)
毎日の歯磨きでは取れない、硬く固まってしまった歯石を専用の器具で優しく取り除きます。
歯石は歯周病の大きな原因になるため、定期的な除去がとても大切です。
専門的な歯のクリーニング(PMTC)
特殊なペーストと器具で、歯の表面の着色や細菌の膜(バイオフィルム)を徹底的に除去し、ツルツルに磨き上げます。
終わった後は、歯が本来の白さに近づき、汚れが付きにくくなる効果も期待できますよ。
フッ素塗布
歯の質を強くし、虫歯菌が出す酸に溶けにくくするフッ素を塗布します。
特に、生えたての歯に効果的なので、お子さまにはぜひ受けていただきたいケアの一つです。
毎日のケアをレベルアップ!ブラッシング指導
実は、毎日しっかり歯磨きをしているつもりでも、多くの方がご自身の歯並びや癖に合った磨き方ができていません。
私たち歯科衛生士が、あなたの磨き方の癖を見抜き、歯ブラシの選び方からデンタルフロスの使い方まで、明日から実践できる「あなただけの正しい歯磨き方法」をアドバイスします。
これが、ご自宅でのセルフケアの質をぐっと高める秘訣なんです。
なぜ100万円も節約に?予防歯科の驚くべき経済効果
「定期検診に通うと、逆にお金がかかるのでは?」と思いますよね。
しかし、長い目で見たとき、治療にかかる費用と予防にかかる費用には、驚くほどの差が生まれるんです。
「治療費」と「予防費」の大きな違い
具体的な金額で比較してみると、その差は一目瞭然です。
定期検診の費用
保険適用(3割負担)で1回あたり2,500円〜3,000円程度です。
年に3回通っても、年間1万円程度ですね。
虫歯治療の費用
神経を抜くような大きな虫歯だと1本で数万円、さらにインプラントになると1本で30万円〜40万円以上の費用がかかることもあります。
もし、定期検診を40年間続けた場合(年間1万円×40年=40万円)と、歯を失ってインプラントが数本必要になった場合(数十万〜数百万円)では、どちらがお得かは明らかですよね。
予防は、将来の大きな出費を防ぐための、最も賢い自己投資なんです。
生涯医療費で見る!定期検診を受けている人といない人の差
この経済効果は、歯科治療費だけに留まりません。
ある調査では、定期的に歯科検診を受けている人は、受けていない人に比べて49歳以降の年間の総医療費が低くなるという結果が出ています。
65歳時点では、その差は年間15万円以上にもなるというデータもあるのです。
これは、次にお話しする「お口の健康が全身の健康につながる」ことで、歯科以外の医療費も抑えられるためと考えられています。
お口だけじゃない!予防歯科がもたらす全身への健康効果
「お口の健康は全身の健康につながります」と、私たちがいつもお伝えしているのには、しっかりとした科学的な根拠があるんです。
特に歯周病は、お口の中だけの問題では済まされない、注意が必要な病気です。
歯周病と全身疾患の怖い関係
歯周病菌や、菌が出す毒素が歯ぐきの血管から体内に入り込み、全身を巡って様々な病気を引き起こしたり、悪化させたりする可能性があります。
糖尿病
歯周病は糖尿病の合併症の一つと言われており、互いに悪影響を及ぼし合います。
実際に、歯周病の治療をすることで血糖値が改善することもあるんです。
心筋梗塞・脳梗塞
歯周病菌が血管内で血の塊(血栓)を作りやすくし、動脈硬化を促進する可能性があります。
歯周病の人はそうでない人に比べ、脳梗塞になるリスクが2.8倍という報告もあります。
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)
高齢者の方に多い誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまうことで起こりますが、その際に唾液に含まれる歯周病菌が肺に入ることで発症のリスクが高まります。
認知症
歯周病菌が作り出す物質が、アルツハイマー型認知症の原因物質の蓄積に関わっているという研究報告もあります。
お口のケアをすることが、こうした全身の病気のリスクを減らすことにも繋がるのです。
健康寿命を延ばし、生活の質(QOL)を高める
80歳になっても自分の歯が20本以上残っていると、ほとんどの食べ物を美味しく食べられると言われています。
自分の歯でしっかり噛んで食事を楽しむことは、栄養バランスを整えるだけでなく、脳への良い刺激にもなります。
「何でも美味しく食べられる」ということは、日々の生活の質を大きく向上させ、健康寿命を延ばすための大切な要素なのです。
【歯科衛生士が解説】お子さまの将来のための予防歯科
私にも5歳の娘がいますが、お子さまの歯の健康は、親御さんにとって大きな関心事ですよね。
乳歯の健康は、永久歯の歯並びや将来の健康な食生活の土台を作る、とても大切なものです。
「虫歯ゼロ」が当たり前の時代へ
「子どもの歯はどうせ生え変わるから」と思っていませんか?
それは大きな誤解です。
乳歯の虫歯を放置すると、後から生えてくる永久歯が虫歯になりやすくなったり、正しい位置に生えることができず歯並びが悪くなる原因になったりします。
早い段階から予防の習慣をつけることが、お子さまへの最高のプレゼントになりますよ。
歯医者さんを「怖くない場所」にするために
お子さまが歯医者さんを好きになるためには、最初の出会いが肝心です。
歯医者さんデビューは1歳頃から
歯が痛くなってから初めて歯医者さんに行くと、「歯医者=痛い・怖い場所」というイメージがついてしまいます。
何も問題がないうちから、まずは歯医者さんの雰囲気に慣れることから始めましょう。
楽しい歯磨き習慣
お子さまと一緒に楽しく歯磨きをするためのコツや、年齢に合った歯ブラシの選び方などもアドバイスしています。
仕上げ磨きで困っていることなど、何でも相談してくださいね。
プロによる予防処置
虫歯になりやすい奥歯の溝をフッ素を含んだ樹脂で埋める「シーラント」や、定期的な「フッ素塗布」で、お子さまのか弱くて大切な歯を強力にガードします。
よくある質問(FAQ)
Q: 予防歯科にデメリットはありますか?
A: 定期的な通院の時間と費用がかかる点が挙げられます。
しかし、虫歯や歯周病が進行してからの治療にかかる時間や費用、そして歯を失う心身の負担を考えると、長期的には大きなメリットがあると言えます。
Q: 歯科の定期検診は、どれくらいの頻度で通うのが良いですか?
A: お口の状態によって異なりますが、一般的には3ヶ月〜半年に1回のペースをおすすめしています。
虫歯や歯周病のリスクが高い方は3ヶ月ごと、状態が安定している方は半年に1回など、あなたに合った最適なペースを一緒に決めていきましょう。
Q: 予防歯科は保険適用になりますか?
A: はい、歯周病の検査や歯石除去、メンテナンスなど、多くの予防的な処置は健康保険が適用されます。
一部、より審美性を高めるクリーニングなどは自由診療になりますが、ご希望に合わせて最適なプランをご提案しますのでご安心ください。
Q: 毎日の歯磨きをしっかりしていれば、定期検診は必要ないですか?
A: 毎日のセルフケアは非常に重要ですが、残念ながら歯ブラシだけでは落としきれない汚れや歯石が必ず出てきてしまいます。
プロによる定期的なクリーニングとチェックを組み合わせることで、初めてお口の健康を高いレベルで維持できるのです。
Q: 野田阪神・海老江エリアに住んでいます。地域ならではの口腔ケアの注意点はありますか?
A: このエリアは美味しい飲食店も多く、外食の機会も多いかもしれませんね。
食後のケアが難しい場合は、少しお水で口をゆすぐだけでも効果がありますよ。
また、地域のお子さまの生活習慣なども把握しておりますので、検診の際にぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
予防歯科が、単に虫歯を防ぐだけでなく、将来の大きな治療費を節約し、さらには全身の健康を守るための「未来への投資」であることがお分かりいただけたでしょうか。
- 予防歯科はプロのケアとセルフケアの両輪で進める
- 定期検診は、将来の治療費や生涯医療費を大きく節約する効果がある
- お口の健康は、糖尿病や心疾患、認知症など全身の病気と深く関わっている
- お子さまの予防歯科は、将来の健康な歯並びと食生活の土台を作る
歯が痛くなってから歯科医院に行く「治療」から、健康を守り育てるための「予防」へ。
その一歩を踏み出すのに、早すぎることはありません。
「毎日の小さなケアが、将来の大きな差になります」
私たち野田阪神歯科クリニックのスタッフが、あなたの健康づくりを全力でサポートしますので、まずはお気軽にご相談くださいね。